福岡市は、政令指定都市の中でも1人当たりが使用する水の量が最も少ないことで有名です。節水技術は、日本の他の都市と比較するまでもなく、世界でもトップクラスの水準にあり、条例等による再生水の利用義務化やフィジーやマレーシアなど海外への水道技術支援にも積極的に取り組んでいます。このように節水に力を入れるようになったのは、1978年に発生した記録的な大渇水に端を発しています。1978年5月に至るまでの10か月間の降水が平年の60%以下にとどまったことにより、福岡市が管理するダムの貯水率が著しく減少し、ついには、市内の水道に対し給水制限を開始するに至りました。
1日の給水時間が5時間に制約され、市民は給水車でバケツに水を汲んで、料理や洗濯を行わなければならいという不便に見舞われたことは福岡在住の年配の方には記憶にあるかもしれません。また当時は、市内の学校でのプールの中止など生徒への教育にも影響を及ぼす事態となりました。影響は、延べ約290日間程度までに達することとなりました。この教訓を生かし、市の水道局では、できるだけ水道管から漏水を防ぎ、水を有効活用できるように24時間365日体制で浄水場から家庭の蛇口に至るまでの水流や水圧を監視するシステムを構築しています。
これにより、浄水場の水のうち、家庭の蛇口に到達しない水の割合は、1.8%と世界トップ水準まで到達しました。その一方で、水道料金が全国の政令指定都市の中でもトップテンに入るほど高いという問題も生じています。